三菱電機の2012年度の有価証券報告書を見ていくと、過去4期と当期の経営指標がまず目に付きますが、過去4期の包括利益で損失を計上したのは2008年度のみで、当期も利益を計上しています。
事業の状況としては、米国や新興国の景気が底堅く推移しましたが、中国の成長の鈍化と日本の景気回復の遅れを指摘して厳しい状況であった事を示し、利益は前年度比で減少傾向です。
そんな中で、セグメント別で利益に貢献したのは、通信事業で通信インフラ機器などの増加により、受注・売上ともに前年を上回りました。
対処すべき課題としては、「強い事業をより強く」という個別事業の強化を目指したVI戦略を掲げて、この強い事業を核としたソリューション事業の強化との両輪とする成長戦略を進めていき、目指すのは強靭な経営体質の確立です。
研究開発活動では、情報通信システムでは宇宙関連のシステム開発に取り組む一方で、家電では電力最適制御技術で省電力を実現する「スマートクオリティ」による商品開発を行なっています。
コーポレート・ガバナンスの状況としては、体制として経営の監督と執行の分離を行い、経営の監督は取締役会が、執行機能は執行役が行う体制です。
現在の取締役は12人で、そのうち5人は社外取締役となっており、客観的な監督や助言を行なっています。
このように、三菱電機の有価証券報告書では、当期に関しては厳しい見方をしながらも着実な成長戦略を掲げ、強みを活かした経営を行なっていくという方向性が読み取れる内容と言えます。