有価証券に関して、時価会計が適用されてかなりの時間が経過しました。
日本企業の会計処理も、時価会計が導入された当初の動揺ははるか昔のことのような感じを受ける程度に、その処理方法になじんできています。
売買を目的とした有価証券やその他の目的の有価証券に関しては、原則として時価主義がとられるようになったわけですが、その場合に通常は、帳簿上の価額と時価が異なってくるのです。
そして実務上、この差額は損益として貸借対照表に計上する必要があります。
評価額が利益として計上できる場合には有価証券評価益とし、他方、損失となる場合には有価証券評価損として計上することになっており、たとえば、決算時において、ある企業の株式を1株あたり100円で1000株所有している場合には、有価証券を10万円分保有していることになりますが、決済時の同社の時価が1株あたり50円になっていた場合には、有価証券としては5万円分を保有していることになります。
したがって、帳簿価額と時価に差が出ることになり、有価証券に関して時価主義を適用すると、上記例の場合、5万円の損失が出る計算となるのです。
これが有価証券評価損で、仕訳上では借方に評価損5万円を、貸方に有価証券5万円を記述することになります。
すなわち、有価証券を売却したので、時価5万円の有価証券という資産がなくなった処理を貸方で行い、一方、評価損の処理を借方で行って、両者を調整することになるのです。