有価証券取引税は、かつては昭和28年に施行された有価証券取引税法に基き課税されていた税金です。
これは、有価証券の譲渡を課税対象とし、その取引によって利益が生じたか否かにかかわらず課税される、一種の取引手数料のようなものでした。
同税金の納税義務者は有価証券を譲渡した者であり、税率は有価証券の種類や、譲渡者の性質(個人であるのか、又は証券会社等の金融機関であるのか)に応じて異なりました。
取引税の税率は高くはありませんでしたが、有価証券を頻繁に売買する投資家にとっては馬鹿にならないものだったので、取引税が存在する事が投資家の売買意欲を殺いでいるとの批判が強まり、同税金は平成11年4月1日に廃止される事となりました。
実際、有価証券取引税の廃止は株式市場の好転のきっかけとなり、個人投資家は税制の変化に敏感に反応し、取引税が廃止されたことを受けて活発に売買を行うようになりました。
個人投資家の株式売買金額は、取引税が廃止される前は月間1兆円未満の水準でしたが、取引税廃止後には大幅に増加し、平成11年末には月間5兆円近い水準となっています。
個人投資家の売買が活発化した事を受け、株式市場は大幅に上昇する結果となったのです。
取引税の廃止により一時的には税収は落ち込みましたが、国の税収にもプラスの効果を生み出しました。
それは、個人投資家の株式取引が活発化した結果、株式キャピタルゲイン税収が大幅に増加したからです。