名義株とは、他人名義を借用して株式の引き受け及び払い込みがなされた株式の事をいいます。
通常、株式の名義は払い込みを実際に行った人の名義となるのですが、名義株は実際に払い込みを行っていない人の名義になっている株式です。
このように他人名義の株式が存在する背景としては、旧商法が株式会社の設立するときの発起人の最低人数を7人と規定していた点が挙げられます。
すなわち株式会社を設立しようとしても、創業者だけでは7人集まらないというような場合に、親族や従業員の名義を借りて設立していたのです。
このような場合、大抵の場合は設立後に株式の名義を創業者に戻すという事をするのですが、中には名義を変更せずにそのまま放置しているような会社もあったのです。
名義株の問題点は、実際に払い込みを行っていない人、すなわち無償で株主としての権利を有している名義貸人が、突然会社の経営に口を挟んでくる事があるという点です。
商法上は名義人である限り会社経営に意見を言う権利はあるのですが、実際に払い込みを行ってる名義借人の立場からすればたまったものではありません。
名義貸人と名義借人との間で会社経営に関する紛争が勃発した場合、両者が株式の帰属を争うだけであれば、会社経営へ直接的な影響を及ぼすことはないでしょう。
しかし、場合によっては名義貸人が商法上で認められている権利を盾に、現経営陣の業務執行停止の仮処分や、議決権行使禁止の仮処分等の法的手段に出る事もあり、その場合は会社の経営に重大な影響を及ぼす事になります。