すべての企業が、有価証券報告書を作成する義務があるわけではありません。
報告書を作成しなければならない会社は、金融商品取引法に規定されています。
まずは、証券取引所に上場されている有価証券を発行した会社、すなわち上場会社です。
東京証券取引所に株式を上場している外国会社もこれに含まれるので、有価証券報告書の提出義務が課せられます。
次は、日本証券協会が定める一定の基準を満たした登録銘柄と店頭管理銘柄を発行した会社や、事業年度末および前4事業年度末のいずれかにおいて、株主数が500名以上になったことのある会社です。
金融商品取引法では、有価証券報告書を内閣総理大臣に提出する規定になっています。
内閣総理大臣の権限は特定のものを除き、金融庁長官に委任されています。
金融庁長官は、内閣総理大臣より委任された権限のうち、その一部を財務局長に委任することができます。
この規定によって、報告書の受理などが財務局長に再委任されています。
具体的な名宛て人および提出先は、企業内容などの開示に関する内閣府令および企業内容など開示ガイドラインによって、提出会社の資本の額および証券取引所上場の有無によって規定されています。
このように細かく規定しているのは、投資家の保護のためです。
資本に市場を取り巻く環境の変化に対応して、利用者保護のルール徹底と利便性の向上を図ることで、報告書の柔軟化、公正化、透明化、および厳格化が図られています。