平成24年度は、国内の輸出中心の主要な電気株の有価証券報告書は、平成23年度に引き続き不振が続きました。
それは、ギリシャに端を発する欧州経済危機や、ウォン安を背景とする韓国製品との競合が激化し、電気製品の販売不振が続いたからです。
さらに、世界経済における円の独歩高が進む一方で、部品のコモディティ化が進み、日本製品の優位性が失われつつあることや、尖閣諸島領有権問題に端を発した中国の日本製品ボイコットなどにより、技術立国日本を代表する電気産業は軒並み巨額の赤字が続いていることも影響されています。
こうした中、12月に政権交代があり、行き過ぎた円高を是正するという新政権の強い意向があり、1ドル70円台だった円は、90円台半ばまで下落したことにより、輸出産業は軒並み円安差益を享受することになり、ソニーも例外ではありませんでした。
ソニーでは9つのセグメント別に業績を公表していますが、本業のエレクトロニクス部門は5つあります。
その中で減収減益は、デジカメ部門、ゲーム部門、パソコン部門であり、液晶テレビ部門とデバイス部門のみ昨年度比でプラスとなっています。
特に液晶テレビ部門は、平成23年度は1452億円の赤字だったのが、平成24年度は338億円の赤字となり、ようやく販売不振が止まった感があります。
ソニーでは、今後デバイス部門を強化し、特にCCDの分野では世界トップレベルにあるため、CCDを使った新たなビジネス展開で収益を上げようとしています。
今後しばらく円安傾向が続くのであれば円安差益が膨らみ、平成23年度から続いた赤字の補填にも貢献できるので、体質を強化するチャンスとなるのです。