企業の経営状態を俯瞰することが出来、上場企業などには提出が義務付けられている有価証券報告書ですが、多くの企業では公式サイトの投資家向けのコンテンツで観ることが出来ます。
伊藤忠商事も例外ではなく、pdfファイルで閲覧をすることが可能です。
第90期の有価証券報告書を読み取っていくと、まず過去4期との比較が米国会計基準でされていますが、過去4期比で今期は収益、売上高、当期純利益などで一番良い数字となっていることが分かります。
さらに、従業員数も前期に比べて約2万5,000人増加しており、採用も積極的であることが伺えて好調な業績です。
それらの原因を事業の状況から見て行くと、日本経済の回復基調と個々のセグメントで為替の円安の影響によって売上高が増加しています。
伊藤忠商事のこれからに関しては対処すべき課題で記述されており、収益拡大とバランスの取れた成長、財務規律遵守と低重心経営という3つの基本方針です。
収益拡大ではグロス投資ベースで1兆円を上限とした新規投資に積極的に取り組むことによる収益基盤の拡充を行い、バランスの取れた成長をするためには、それぞれの分野で強みを発揮するとしています。
また、売総経費率の改善を行い、実現することで経営の低重心化を実践し、最後に記載されているのは健全な企業統治体制の構築を行う体制についてです。
このように、伊藤忠商事の有価証券報告書を概観してみると、業績が円安などの外部環境にも恵まれて良かったものの、これからも積極投資を行うとともに適切なリスクマネジメントを行なっていく姿勢であることが分かります。