企業が、他社の株式などの有価証券を保有している場合、会計上はその保有目的によって「売買目的有価証券」「満期保有目的債券」「子会社・関連会社株式」「その他有価証券」の4つに分類されます。
このうち、売買目的有価証券については、決算時にその有価証券を決算時の時価で評価し直し、その評価損益を計上します。
これを、有価証券評価損益と呼びます。
特に、決算時の時価が取得時よりも上がっている場合には有価証券評価益を、下がっている場合には有価証券評価損を計上します。
具体的には、例えばA社の株式、1株100円のものを売買目的で10株購入した場合には、帳簿上に、取得価額で1,000円を計上します。
これが、決算時に1株120円に価値が上がっていた場合、取得時の1,000円と決算時の1,200円との差額である200円が、有価証券評価益として損益計算書の営業外収益に計上されることになります。
では、なぜ営業外収益として計上されるのかというと、有価証券の評価益は、企業の本来の営業活動による利益ではないからです。
よって、有価証券の評価益は企業の本業の利益を示す営業利益ではなく、本業以外の利益や費用を加減した経常利益に影響を与えることになります。
また、売買目的有価証券以外の有価証券が有価証券評価損益を計上しない理由は、それらの有価証券は原則として時価の変動によって利益を得ることを目的として保有されるものではないからです。
会計処理の際には、満期保有目的債券やその他有価証券の時価が変動しているからといって、有価証券の評価益を計上してしまわないよう注意が必要です。